身ごもり政略結婚

「急に返事をと言われても困るでしょうから、これから考えてくだされば。もしよろしければ、このあとふたりでお茶でもしませんか?」


そんなふうに誘われて半信半疑でうなずく。

あのエール・ダンジュで若くして専務まで上り詰めた彼が、店でしか会ったことがない私にプロポーズしているのが理解できない。

彼は非の打ち所がないほど見た目はいい男。
きっと女性が放っておかないだろうに。

もしかして、なにか決定的な欠陥があるとか?

そんなことまで考えてしまい、箸が進まなくなった。


「すみません。お食事を楽しみましょう。洋菓子を扱っているので、どうしても洋食をいただく機会が多くて。でも、本当は和食も和菓子も好きなんです。麻井も千歳さんの練り切りが好物なんですよ。いつも会議室に持っていく前にひとつ減っています」


それから須藤さんは緊張気味の私たちをなごませるかのように話をしてくれた。
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