身ごもり政略結婚

「もちろんです」


麻井さんのうれしそうな笑みを大雅さんにも見せてあげたいな。

もう見てるかな?


それから三十分。
廊下で待機していた麻井さんに連絡が入り、大雅さんが取引先を出たということだった。


「本陣痛はまだのようですね。でもそろそろかもしれません。頑張りましょうね」


その後助産師さんが来て、私にそう伝えて出ていった。


「始まるのか……」


いよいよだ。
しかし、本陣痛が始まったからといってすぐに産まれるわけじゃない。ここからが戦いだ。

もうすぐ赤ちゃんに会えるという喜びが大きく膨らみ、自然と覚悟が決まった。


大雅さんが八坂社長に、女性は『子供を守りたい一心ですごい勢いで強くなっていく』と諭されたと言っていたが、こういうことなのかも。

この子に会うためには、痛くてもつらくても頑張るしかないのだから。
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