身ごもり政略結婚
「もうすぐ会えるんだな」
「はい」
彼は目尻を下げた完全にパパの顔。
「結衣。痛くてつらかったら、俺をひっぱたいてもいいから」
「そんなことしたら先生たちがびっくりしちゃう」
しかし、一緒に乗り越えようとしてくれている気持ちはうれしい。
「出産のこといろいろ調べたけど、俺じゃ産めない気がして。つわりもだけど、陣痛も絶対に耐えられない」
「耐えなくていいですよ。この子を愛してくれれば」
「もちろんさ。この子も、結衣も」
彼は私にお腹を優しくさすった。
そのとき、ちょうどお腹が張って顔をしかめると、ハッとした様子で手を離す。
「ごめん」
「大雅さんのせいじゃないですって」
これでは先が思いやられる。
私じゃなくて大雅さんが卒倒しそう。
やっぱり女性は強いのかしら?
それからしばらくは、彼と穏やかに話をしていられた。
でも、二十一時を過ぎた頃から、間隔はまだまだ長いものの痛みが強くなってきて、本陣痛が始まった。