身ごもり政略結婚

痛みが来る間は冷や汗が噴き出しっぱなし。


「結衣、頑張れ」


大雅さんの励ましにも、痛みのピーク時にはうなずくので精いっぱい。
私は深呼吸を繰り返しながら、ひたすら耐えていた。


そしてそのまま朝を迎えた。

まだ陣痛の間隔は十分程度で、発作の時間も短いので耐えられる。
破水していなければ家にいたかもしれない。


「子宮口が二センチになりましたね。順調に進んでいますよ。今日中に産まれるかな?」


診察に来た南雲先生にそう言われたけれど、大雅さんが食いつく。


「今日中って、そんなにかかるんですか?」

「明日になるかもしれないですよ。初産は経産婦より時間がかかるのが普通なんです。お父さんはオロオロしないで支えてくださいね」


『オロオロしないで』なんてはっきり指摘されているが、たしかにすでにうろたえている。

私が顔をしかめるたびに、彼も苦々しい表情を浮かべているのだ。


お昼を迎えた頃、ずっと食べずについていてくれた彼に食事を促したのに、行こうとしない。
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