身ごもり政略結婚
「大雅さん! 大雅さんが倒れても面倒みませんからね!」
「は、はい」
初めて大きな声を出すと、彼が廊下に立たされた小学生のようにしょんぼりしているので、噴き出しそうになった。
「私も冷たいお水が飲みたいです。大雅さんのお昼と一緒に買ってきてください」
汗をかくので喉が渇く。
「わかった。すぐに行ってくる」
といっても、地下の売店か病院の目の前にあるコンビニだろう。
渋々出ていく大雅さんのうしろ姿を見ながら、私とこの子のためにあんなにハラハラする彼の姿をずっと覚えておきたいと思った。
予想通り大雅さんはすぐに戻ってきて、私にストローでお水を飲ませたあと、ほとんど飲み込むようにサンドウィッチを口に運ぶ。
私には病院から果物が用意されていたが食べる気にはとてもなれず、彼が焦る様子をボーッと眺めていた。
「さっき、どちらの実家にも陣痛が始まったと連絡しておいたよ。産まれてから連絡すると言っておいた」