身ごもり政略結婚

「あぁっ」
「深く息をして。はい、ふーふー」


助産師が私と一緒にやってくれるので、必死に真似をする。

すると私の顔をのぞきこんでいる大雅さんまで同じようにしていた。


「息を止めちゃダメよ。赤ちゃんが苦しいからね。はい、ふー」


私はそれからも言われるがまま必死だった。

そして……。


「いきんで!」
「あーっ、痛いーっ!」
「いったん休憩。須藤さんしっかり!」


何度もそれを繰り返すうちに、「頭見えてきたよ」という先生の声が聞こえてきた。


「もう一回、いきんで!」
「んんんんんーっ」
「ぎゃー」


力を振り絞っていきんだ瞬間、か細い泣き声が耳に届き、赤ちゃんが取り上げられたところが見えた。


「産まれた……」


私と大雅さんの、赤ちゃんが……。


「おめでとうございます! 女の子ですよ」


しかし、南雲先生のそのひと言に目を瞠る。

男の子、じゃなかった……。
< 299 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop