身ごもり政略結婚
しかしそんなことを考えたのも一瞬だった。
新しい命が無事に産まれてきてくれたという感動で胸がいっぱいになり、先ほどまでとは違う涙が流れる。
すると、今まで冷静だった大雅さんも、目から大粒の涙を流して男泣きし始めた。
「結衣、よく頑張ったね。ありがとう。……ありがとう」
人目をはばからずというのはこういうことなんだろうなというほど、彼も涙を抑えられないようで、あとからあとからこぼれている。
私の涙と交互に拭いていては間に合わない。
「女の子……」
「うん。嫁にやれないなぁ。これは困った」
男の子じゃなかったことに触れたつもりだったのに、彼はためらいもせずに言う。
「お父さん、それはさすがに早いですよ」
先生が産後の処置をしながらクスクス笑っている。
それから助産師がきれいにした赤ちゃんをすぐに連れてきて、抱かせてくれる。
「うわぁ、小さい。壊れちゃいそう」
「体重二八八〇グラム、身長四十八センチでした。美人さんね」