身ごもり政略結婚

「えっ、絵本も読んであげてたし、童謡も歌ってましたよね。毎日『行ってきます』と『ただいま』も欠かさなかったし」


私が口を挟むと、「それで足りてる?」なんて眉根をひそめる。


「あはは。やっぱりいいパパですね。よかったねー」


今度は助産師が赤ちゃんに話しかけたものの、目を閉じて眠っているようだ。


「それって合格ということですか?」
「もちろん」


先生からパパ合格をもらい、大雅さんはすごくうれしそう。

私はその様子を見て、この子は幸せだなと思った。


「大雅さんも抱っこしてください」
「怖いな……」


想像していたよりずっと小さかったので、実は私もビクビクだった。
でも産まれたてのこの重さも経験してほしい。


「首に気をつければ大丈夫。パパもいっぱい触れて、愛情を分けてあげたくださいね」


助産師に抱き方を教わった彼は、腰が引け気味だったけれどがっしりと赤ちゃんを抱いた。


「はー、軽い。でも温かい」
「はい」
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