身ごもり政略結婚
しかも、専務である彼が直々にプレゼンしたなんて、驚きを隠せない。
千歳の和菓子が好きだという話だけは信じてもいいのかも。
「私が毎月お邪魔していたのは、会議で他の社員によさを知ってもらい、説得するためでした。昔ながらの味や製法にこだわりつつ、時代を意識した新しい見た目にトライされている。そうした現状に甘んじない姿勢に感銘を受けていたんです」
たしかに私が店を手伝うようになってからは、毎月新作をひとつは出してきた。
成功したこともあればひと月で製造終了という事態もあったが、千歳の発展は攻めの姿勢がなくてはありえないと思ってきたからだ。
古くからの常連さんだけでなく、新しい顧客層からの支持を得なければ、先細りの未来しか見えないと。
それが功を奏したの?
「柿庵は爆発的ヒットとなった商品にすがるばかりで、時代に合わせて変化しようとする努力は見られません。どちらの和菓子店に未来があるか、もしくはアルカンシエルの要求に応える力があるかは一目瞭然です」