身ごもり政略結婚
まさか、うちみたいな小さな店にそんな評価が下るなんて。
しかも、新作のデザインのほとんどは私が担当してきたので、それに関しては素直に喜ばしい。
「ありがとうございます」
しかし、複雑としか言いようがない。
和菓子は評価されても跡継ぎを産む、形だけの妻になれと言われて、うれしい人なんている?
「もし、私が結婚の話を受け入れても、父に余計なことは言わないでいてくれますか?」
まだ須藤さんのことをよく知らないのに、この場で大切な人生の選択を軽い気持ちでできない。
すごく重要なことでしょ?
ただ、もしそうなったときの彼の姿勢だけは聞いておきたかった。
私がズバッと切り込むと、彼は少し首を傾げて私の目をじっと見つめる。
そしてふと表情を緩めた。
「結衣さんはお優しい方のようだ。もちろんです。平岡さんの負担にならないようにすることは約束します」