身ごもり政略結婚
「こんにちは。あのっ……なにか?」
なにか変だった?
「先日のスーツ姿もそうでしたけど、洋服を着ると印象が変わりますね」
店ではいつも着物姿だからだ。
今日は白いブラウスにライトブルーのカーディガンを羽織り、紺のフレアスカートを合わせた。
エール・ダンジュの本店に行くなら、あまりカジュアルすぎるのもよくないと思ったが、彼がスーツだったので正解かもしれない。
「そうですか?」
「どちらも素敵です。行きましょう」
素敵、なんてさらりと口にできる彼は、女性の扱いに慣れているのだろうか。
彼のことを全然知らないのに、本当に結婚なんてできる?
私は不安になりながらも、助手席に乗り込んだ。
彼が運転するところを見るのは初めてだったが、急ブレーキもなく車線変更もスムーズ。
運転はすこぶるうまい。
できる男はなんでもこなす。
「結衣さんは、栗は好きですか?」
「はい」
突然話しかけられてビクッとする。