身ごもり政略結婚
「四季がなければこの和菓子も生まれなかったということですね。こんな素晴らしい一品に出会えたのだから、日本に生まれてよかった。千歳さんの和菓子の味は折り紙付きですから、それにこの美しさが加わればどんな和菓子店も太刀打ちできない」
それじゃあ、新作は合格?
「ありがとうございます!」
密かに込めてある想いを理解してもらえたときは、本当にうれしい。
だから大きな声になってしまい、慌てて口を押さえた。
「こちらを十個。それと紅葉も十個。他には……」
彼は訪れるたびに三十から四十個も購入してくれる。
ありがたい限りだ。
「秋色、来年も並ぶのを楽しみにしています」
まさかそんな言葉を聞けるとは。
飛び上がるほどうれしいのに、私は複雑だった。
「来年は……店がありません。実はこれが最後の新作でした」
「最後?」
彼は目を丸くして眉を上げる。