身ごもり政略結婚
もう大きくなったお腹を抱えた妊婦さんが、旦那さんに甘えるように肩に頭を乗せているのを見てうらやましかった。
私にはあんなことはできない。
普通の夫婦の距離ってあんな感じなのかな?
大雅さんと恋もせずに結婚した私にはわからなかった。
表情ひとつ変えずまっすぐ前を見ている彼は、なにを考えているのだろう。
妊娠の可能性について話したときは喜んでいるように見えたけれど、それは念願の跡取りが産まれるからか、父親になれる喜びなのか、どっち?
夫婦なのにそんなことを考えなければならないのが寂しい。
「須藤さん。須藤結衣さん。第一診察室にどうぞ」
いよいよ名前を呼ばれて体がギュッと縮こまる。
産科の受診は初めてだし、受付で女医さんをお願いしたとはいえ、内診があるのは知っているので緊張を隠せない。
深呼吸してから立ち上がると、大雅さんが私の背中を押して促した。