身ごもり政略結婚

四十代くらいのメガネをかけた南雲(なぐも)先生は、問診票を見て「妊娠の確認ね」と話し始める。

それから一旦大雅さんを廊下に出して、診察が始まった。

最終月経などくわしい問診があっていよいよ内診。
独特のイスに驚き、もういっぱいいっぱいだ。


「力抜いてね」


そんなことを言われたって無理。

しかし先生は慣れたもので淡々と進み、あっという間に内診やその他の検査が終わった。


私が診察室の椅子に座り直すと、大雅さんも再び呼ばれる。


「おめでとうございます。二カ月ですね。特に問題もありません」


そう言われた瞬間、無意識にお腹を押さえていた。

本当に、ここに赤ちゃんが。
私と大雅さんの……赤ちゃんが!

検査薬で陽性が出ていたとはいえ、先生にはっきりと告げられて一気に気持ちが高ぶる。


「ありがとうございます」


胸にこみ上げてくるものがあり、声が震えた。

自分で検査したときは半信半疑で、しかも母親になるという実感が湧かずふわふわした気持ちだった。

でも、妊娠が確定した今は、期待でいっぱいだ。
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