身ごもり政略結婚
「ありがとうございます」
隣で大雅さんは淡々とお礼を口にした。
もっと大喜びするかと思っていたが、意外とあっさりしている。
うれしく、ない?
それとも昨日の私のように、信じられなくて呆然としている状態なの?
聞きたかったが、そんなことを聞けるはずもない。
それからいくつかの注意点を聞く間、私はひと言も漏らすまいと手に汗握りながら耳を傾けていた。
「もうつわりがあるのね」
「はい。ムカムカするんです」
「個人差が大きいのよ。須藤さんみたいに妊娠に気づく前から始まる人もいるし、出産直前まで続く人もいる。反対にほとんどない人もいるの。須藤さんがこれからどういう経過をたどるかは、予測できないわ」
私はそれを聞き、改めて妊娠出産が大仕事なのだと感じた。
「でも、あまり無理に食べなくても赤ちゃんは大丈夫だから。食べられそうなものを少しずつ食べてみて。心配しないで。皆そうやってママになっていくのよ」