身ごもり政略結婚
南雲先生が優しく微笑むので、私はうなずいた。
「大変だけど、正常な妊娠のひとつの過程なのよ」
続けてそう諭されて、ホッとして肩の力が抜けた。
ハンドルを操る大雅さんが、帰りの車内で口を開く。
「結衣。しばらく家事も無理しなくていい。元気な子を産むことだけ考えて」
「はい」
ありがたい言葉だったが、淡々としている。
もともと喜怒哀楽をあまり顔に出さない人なので今回もそうかもしれないが、それがなんとなく寂しい。
でも、仕事を休んで付き添ってくれたんだもの。きっと内心は喜んでいるはず。
私は自分にそう言い聞かせたが、それから黙り込んだ大雅さんに自分から話しかける勇気はなかった。
家に帰り私をベッドに寝かせた大雅さんは、すぐさま廊下に出ていき電話をかけ始める。
きっと仕事の連絡だろう。
やはり無理して休んでくれたのだ。
「結衣、すまない。トラブルがあったらしくて対処しないといけないから会社に行ってくる」