身ごもり政略結婚

車に酔ったのかつわりなのか、少し気分が悪いものの、心配げに私の顔をのぞきこむ彼に笑顔を作った。

本当は一緒にいてほしいけど……病院についてきてもらえただけで十分。
もうこれ以上引きとめてはいけない。


「はい。行ってらっしゃい」

「眠れるなら少し眠って。それから食べられそうなものがあれば連絡して。誰かに届けさせる」

「ありがとうございます」


こんなとき、母が産きていてくれたらよかったのに。

けれども、南雲先生に吐き気がひどいときは無理して食べなくてもいいと言われたので、とりあえずは一安心。

しかし、ベッドの上で大雅さんを見送ってしまうと、急に心細くなった。

どうしたんだろう。
気持ちの上がり下がりが激しい。


私は、妊娠を告げられたときのことをぼんやりと考えていた。

昨日、妊娠の可能性があることを伝えたときは、大雅さんも喜んでいると感じた。
< 83 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop