身ごもり政略結婚
でも病院では、彼はさほど表情を緩ませることなく淡々と受け答えをし、私の代わりにわからないことなどをテキパキと尋ねていた。
まるで仕事をひとつずつ片付けているような姿に戸惑ったのは事実だ。
勝手に、『おめでとうございます』と言われたときの大きな反応を期待しすぎていたのが悪いのだろうけど。
検査薬の制度は高いとも聞くし、彼にはもう妊娠の確信があったから落ち着いていたのかな?と思い直してもみたけれど、もう少し喜びを表してほしかったな、なんて思うのは贅沢だろうか。
だって跡取りを望んでいたのは、彼のほうだから。
それから私はベッドに横たわったまま千歳に電話を入れて、父に妊娠を報告した。
『本当か! よかったなぁ』
最近父とは仕事の話ばかりしていたので、こういうプライベートの話は照れくさい。
けれど、電話口の父の声が震えているのに気づいて、胸がいっぱいになる。