身ごもり政略結婚

――ピンポーン。

遠くでチャイムの音が聞こえた気がして目を覚ますと、もう外が暗くなっていた。


あれから何度か目を覚まし、水を飲んではまた寝るの繰り返し。

妊娠すると眠気に襲われる人がいるとも聞いたが、そのせいだろうか。


「大雅さん?」


帰ってきた?

なんだかちょっとうれしくてリビングのインターホンをのぞくと、そこには麻井さんの姿が映っている。


「はい」
『麻井です。体調がお悪いとお聞きしまして、専務のご指示でアイスクリームを買ってまいりました』
「今、開けます」


大雅さんでなかったことに少し落胆しつつ、エントランスのカギを解除する。
するとすぐに彼は上がってきた。


「こんばんは」
「すみません。こんな恰好で」


パジャマに上着を羽織っただけで麻井さんに会うのは恥ずかしいものの、どうにもならない。


「お気になさらず。この度はおめでとうございます」
「ありがとうございます」
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