身ごもり政略結婚
休ませたのは私なのに、謝られて焦る。
「いえ。大雅さんには私のことはいいのでお仕事に集中してくださいとお伝えください」
アイスの入った袋を受け取りながら本心を隠してそう伝えると、麻井さんは怪訝な表情を浮かべる。
「奥さまのことを放っておけるわけがありません。ここからは友人としてですが……」
彼は前置きをして話し始めた。
「専務はとあることがきっかけで、あまり感情をあらわにしなくなりました。ですから、わかりにくいかもしれません。でも、本当は優しい男です。友人の中でも一番幸せになってほしいと願うような」
とあることって?
「結衣さんと結婚してから専務が少しずつ鉄仮面を脱ぎつつあるように感じていて、実はホッとしています。どうかこれからもよろしくお願いします」
「い、いえっ」
「すみません。電話が入ったようです。私はこれで。なにかあれば遠慮なくご連絡ください」