身ごもり政略結婚
麻井さんはそれだけ言い残すと、すぐに帰っていった。
鉄仮面って?
過去になにかあって、本心を表さなくなったということ?
そんなことを考えながら、私は再びアイスの入った袋をのぞく。
「忙しいのに」
麻井さんに頼まなければならないほど身動きが取れないだろうに、私のことを気にしてくれていたんだ。
大雅さんが、妊娠したことを本当はどう思っているのかと不安だったが、きっと喜んでくれているよね。
「アイス、食べよ」
まだ食欲は湧かなかったけれど、大雅さんの厚意を無駄にしたくない。
ゆっくりだったけれど、アイスは無事にお腹に収まった。
先生が『精神的なものもあるから、つわりにも波があるかもね』と言っていたが、その通りかも。
一日の中でもひどい時間と、比較的楽な時間がある。
楽な時間に少しずつ食べて、体力を温存しなくては。
妊娠出産なんて初めての経験で、いちから勉強しなくてはならない。