身ごもり政略結婚
その事件をきっかけに原材料の仕入れ業者への支払いが滞り、こだわりの北海道産の小豆が手に入らないときは、店頭に商品を並べられず休店することも増え、客足も減少。
それでもどうしても質は落とせないという父は、自分はほぼ無給で働いていたがついに首が回らなくなった。
「それは、どうして?」
まさかこんなに食い下がられると思っていなかったので、驚いた。
「お客さまにはいつも千歳をごひいきにしていただいて、本当に感謝しております。お恥ずかしいのですが、経営がうまくいっていなくて……」
どうせわかることだと正直に話すと、彼は唖然としている。
「職人さんはどうされるんですか?」
「父は……。あっ、私は店主の娘なんですが、父はまだ先のことを考えてはおりません。他に職人がひとりおりますが、彼の再就職先を探し求めているところです」
春川さんの再就職先を父が必死に当たっているが、ここで修行したことが役に立ちそうな店がなかなかないとか。