身ごもり政略結婚

翌朝はつわりもひどくなく、朝食を作るためにキッチンに立った。

といっても、食欲があるわけではなく、大雅さんのための朝食だ。

けれど食べていないせいか長く立っているのがしんどくて、簡単なものにしてしまった。


バタートーストとチーズオムレツにベーコンを添えて。
あとはサラダを……と思ったところで大雅さんが起きてきた。


「結衣、大丈夫なのか?」


まだパジャマ姿の彼は私の隣にやってきて顔をのぞきこむ。

起こさなくても起きてくるなんて珍しい。


「はい。今朝は少しよくて。寝てばかりですみません。サラダ作りますから、着替えてきてください」


そう告げたのに、彼はトマトに伸ばした私の手を止めた。


「トマトなんて丸かじりでいい。結衣は休んでろ」
「キャッ……」


突然抱き上げられて大きな声が出る。


「大雅さん?」
「結衣はここ」


彼はそのままソファまで連れていき、私を下ろす。

こんなことをされたのが初めてだったので、心臓の高鳴りを抑えきれない。
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