ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「うーんっ素敵! ほんっと、矢倉さんっていい腕してるわぁ最高っ!」
写真を見てるのか、雅樹を見てるのかわからないような目で、うっとりする長谷部さん。
佐伯さんは、げんなりしたようにそんな彼女を一瞥してから、雅樹に向かって笑顔で頷いた。
「とても素敵だと思います」
「じゃあ店舗写真はこれくらいにして、春アイテムの撮影に移ってもよろしいですか?」
私が言うと、佐伯さんはすぐに準備してきますと、バックヤードへ下がっていく。
「雅樹、場所はどこにする? 切り抜き用だから、それほど広さはいらないよね?」
「ここで、このテーブルの上に板置けば充分だろ」
「そうね。照明は? どうする?」
私と雅樹が、アクセサリーの角度や見せ方を相談していると。
後ろからジトっとした視線を感じた――長谷部さんの。
「仲いいんですね、お二人」
私はこっそり苦笑い。
数時間前の名刺交換の時から、彼女の目がハートマークだってことは明らかだったから。雅樹限定で。
「まぁ俺たちは、仕事での付き合いが長いんで」
彼もわかっているのか、当たり障りなくさらりとかわす。
「じゃあわたしも、まず仕事でのお付き合いからお願いしようかな」
重たそうな胸を強調しながらすり寄る女子の大胆さは、ちょっとこっちがドキッとしてしまうくらい。
最近の20代って、積極的なんだな。