ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
その疑問は、すぐに解消された。
スーツをしまおうとクローゼットを開けた途端、そこに転がる消臭スプレーを見つけたから。
手に取って振ってみると、もうほとんどカラ。
なんだ、なんてことはない。
これを使ったんだ。
私のために一生懸命スプレーを振りかけてる彼を想像すると、なんだか申し訳ないような、おかしいような。
そんなに気にしなくていいのに。
どっと緊張が緩む中。
あまり時間が残ってないことに気づいた私。
手早くクローゼットの中に吊るし。
皺を伸ばそうと、引っ張って……
指がふと、固いものに触れた。
ペタペタ探ると、ジャケットの内ポケット……中に何か入ってる。
「コースター……?」
「Rhapta」と店名らしきロゴが入った、おしゃれなスクエア型のペーパーコースター。
昨夜、ここで伊藤くんと会ったのかな。
何気なくぺらっと裏返して……目を瞠った。
徐南三、亜萬打、打丹得琉? なにこれ?
いびつな、へたくそな漢字が並んでる。
これってライアンの字だ。
「お、お経……?」