ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
駅員を呼んできましょうか、と心配する女性に、お礼を言って断り。
ホームのベンチに腰を下ろす。
「ごめんなさいねえ、私、思ったことをすぐ言っちゃうのが悪い癖なの。家族にもよく怒られて……。まぁ、いろいろ言ったけどね、案ずるより産むが易し、って言葉もあるし、あんまり気にしない方がいいわよ」
何度も謝って背を向けた女性の姿が、小さくなるのを見送って。
ふぅ、と息を吐いた。
駅の表示板を見ると、五反田とある。
いつの間にか乗り過ごしてしまったことに今更気づいて、苦笑い。
「案ずるより……か……」
日陰のせいなのか、時間帯のせいなのか、爽やかな風は少しひんやりして。
人いきれでのぼせた頬に心地いい。
手の中でマタニティマークを弄びながら、ぼんやりとホームを眺めた。
忙しそうに、行き来する人。
サラリーマン、OL、学生……
私がダメダメな母親でも、世界は構わず動いていくんだな。
この子が、お腹の中で毎日成長しているように――