ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

やがて。

キュィイイン……

哀愁を帯びた残響音が、名残惜し気に空気に溶けていき……消えた。


――うわぁあっ……!

「「「ブラボー!!」」」


一時停止を解除したみたいに、歓声と拍手とが爆発し。
パァッとすべてのシャンデリアに光が灯る。

昼間のような明るさに包まれて、やっと全体が見て取れたそこは、学校の体育館2個分くらいの広さがあり。
正装した大勢の人が、上気した顔で手を叩いていた。

立ち上がったシンシアは艶やかに微笑み、観客に向かって優雅なお辞儀をする。眩い光と賞賛を一身に浴びる彼女は、自信に満ちて輝いていて、まるでクイーンのよう……


「チェンさん、素晴らしい演奏でした! 東京公演が終わったばかりでお疲れのところ、ありがとうございました」

舞台上にマイクを持った司会者らしい男性が現れ、シンシアに話しかけた。

「どの公演も、チケットは完売だったそうですね。日本ツアーの大成功、おめでとうございます」
「ありがとうございます。すべてはご支援くださる皆様のおかげです。本当に感謝しています」
「それでは、今回のツアーについていろいろ伺っていきたいと思いますが――……」

しばらくインタビューが続くようで、来場者は飲み物を片手に、リラックスした表情で聞き入っている。

今のうちに、ライアンを探さなきゃと思うのに……

どうしたんだろう。
足が動かない。

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