ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
ライアンの表情は、よくわからない。
けど……これほど大胆に言われて、その気がないなら黙ってるはずがない。
ということは。
彼も、そのつもりってことよね。
つまり私は、
のこのこやってきて、交際宣言に居合わせちゃったってこと……?
「ではここで一旦、休憩とさせていただきます。第二部の開始まで、15分ほどお待ちください」
司会者の声がして、シンシアが出て行ってしまうと。
一気に全体の空気が緩み、ざわつき始めた。
いつの間にか、華奢な持ち手を折りそうな勢いでグラスを握っていたことに気づいて、そろりと力を抜いた。
カタカタ……小刻みに揺れる手を見下ろして、苦笑する。
そっか。やっぱり、そうなんだ。
彼は優しいからな。
それでなかなか、言い出せなかったのかもしれない。
周囲のざわめきを頭の中から追い出して、ふぅ、と深呼吸した。
じゃあ、なおさら話さなきゃ。
ちゃんと、お別れしなきゃ。お互いの未来のために。
顔を上げ、ファンたちに囲まれたライアンの姿を確認する。
そして近づくタイミングを計っていると――
司会者の男性が現れて彼を会場の端へ……私がいる方の壁際へと呼び寄せた。