ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

打ち合わせ、かな。
顔を寄せ合って話し合う2人に遠慮しているのか、今彼らの周囲に人はいない。

よし、きっと今しかない。

足へ力を込めて、前に一歩、踏み出した。


大丈夫。
私はもう、一人じゃないもの。
私には、守るべき存在がある。

一歩一歩進みながら、お腹の赤ちゃんへささやきかける。

ママがパパの分まで頑張るから。
だから怖がらなくていいよ。
元気に生まれてきてね――


あと数メートルというところで、彼がこっちに気づいた。
ちらりと顔をこちらへ向け……そのままギクリと端正な顔を強張らせ、翡翠の瞳をむく。

「あすか……」


あぁ、こんな時なのに、その姿を目にすると胸がときめく。
やっぱり私、彼が好きなんだな。

こんなにも心奪われる人に、出会えてよかった。
その人の子を身ごもることができて、私は本当に幸せだ。


「ライア――」



「きゃあああああっっ!!」


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