ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

「え? で、でも」

「君は僕を殴ったっていいんだから」
「な、なぐっ?」

「二度と口、きいてもらえなかったらどうしようって……怖かった」

小さくつぶやかれたその声音が、微かに震えていることに気づいた私は、ゆっくり首をふった。


「そりゃ……辛かったけど。ちゃんと理由があるんでしょ?」

「そう――だけど、君とベビーにだけは……どんなに謝っても足りない。君の目の前で、あんなこと……」

ぐらりと身体が後ろに傾き、
彼の胸の中に、ぎゅうっと深く抱え込まれた。

目の前ってことは……昨日、シンシアが会社に来た時のことだろうか。

「絶対嫌われた、もう終わりだと思った……」

押し殺したその口調に、苦しみが滲んでいて。
彼もまた、何かと必死で戦ってたんだなって伝わってきた。

視界に入った柔らかな金髪をひと房、ツンと引っ張る。
「ライアン」

「……うん?」

「約束する。何があっても、あなたの味方だって約束するから。だから、全部……話して?」

< 200 / 394 >

この作品をシェア

pagetop