ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「……は?」
おかしい?
その台詞を口の中で繰り返し、「おかしいって、何が?」と首を傾げた。
話のつながりが見えなくて。すると。
「あまりベビーにこういう話は聞かせたくないんだけど……」
仕方ないね、と軽く肩をすくめ、ライアンは私の耳元でぼそぼそと話し出した。
「彼女はそもそも子ども嫌いなんだ。昔からずっと、キャリアの邪魔になるとか、容姿が崩れるとか口癖みたいに言っててね。産みたいなんて話は、一度も聞いたことがない。ね、おかしいだろう?」
うーん……と、私は首をひねった。
「でも、考え方なんて変わるものじゃない? 友達の子どもを見てたら、欲しくなっちゃった、とか。それに、女性には年齢的に出産のリミットがあるもの。いざその時が近づいてくると、産むなら今かなって、思うこともあるだろうし」
彼女も言ってた。
――わたしは28、彼は31でしょ。年齢的にもちょうど良い頃だし。
しかも、ライアンとの子どもなら……彼女の言葉通り、賢くて美しい子どもになる確率は高い。
再び不快な気分が蘇り。
顔をそむけた私の頬へ、彼が戯れるようにちゅっと唇をつけた。
「もちろんそういう女性もいるだろうと思うよ。ただ、シンシアは違う」
「そう、なの?」
「彼女のことは、君よりよく知ってるからね。彼女が愛してるのは、自分自身と金だけ。二胡ですら、自分というブランド価値を引き上げるための道具にすぎない。彼女とは確かに高校時代に再会して関係を持ったけど、そういう部分がどうしても許せなくて逃げ出したくらいだから」