ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

そういうもの……なのかな。
そりゃいろんな価値観があって当然、だけど……

まだ納得できていない私を見て、精悍な頬が苦笑を刻んだ。

「ごめんね、飛鳥。そこで疑問をもたれると先に進めないから、ここはそういう人もいるんだって、受け入れてもらっていいかな?」

う。……確かに。

「わかった、いいわ続けて」
しぶしぶ頷くと、「ありがとう」と彼が続きを語りだす。

「じゃあそうなるとさ、そのシンシアがなぜ突然、僕の子どもを産みたいなんて言い出したか、って話になるだろう?」

「そうね」

「ここでちょっと話は飛ぶんだけど……シンシアとそのやりとりをする数時間前にね、僕は貴志と会ってたんだ」

貴志……伊藤くんと?
「もしかしてニセ秘書のことを相談しに行った時?」
「そうそう、その時。そこで、本社内で流れてるっていう妙な噂を聞いてね」
「妙な?」
「総帥……リーズグループのフレデリック・リー総帥が、ついに自分の後継者を決めたらしい、という話で。それがさ――」

言葉をぷつりと切ったライアンが、私を抱く腕にギュッと力を込め。
ドキン、て緊張が走る。

やっぱりそれって……彼のこと?
マリーさんも、彼は総帥のお気に入りだって……


「僕の子どもだっていうんだ」


< 206 / 394 >

この作品をシェア

pagetop