ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「あ、そそれも……そうね」
「……俺もずっと一人。忘れられない人が、いたから」
ぼそりと漏らした大河原さんを、
弾かれた様に顔を上げた柴田さんが見つめ――眼差しが、熱く絡む。
ドキドキドキドキ……
女子高生みたいにジタバタしたくなる足を踏ん張って、
叫びそうになる口を、ぎゅうぎゅう両手で押さえた。
こ、これは……予想以上にいい展開なんじゃ……
ごくっと息を飲んだ、ちょうどその時。
「大河原さぁん! どこにいらっしゃるのぉー」
遠くからかすかに聞こえてくるあの声は……確か……
「……清水さんだっ」
室内の2人はまだ見つめ合っていて、あの声は届いてないみたい。
ホッと胸をなでおろし、静かにドアを元に戻す。
お誂え向きの立て看板があったから――「清掃中につき、入室ご遠慮ください」――ドアの前に置いて。ふふ、これでよし。
お幸せに、と声を出さずにつぶやいて。
清水女史を食い止めるべく、急いで声のする方へ足を向けた。
今2人の邪魔は、させられないものね。