ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
まだ覚えてる、飛鳥の血の気のひいた顔。
勝手に彼女へ駆け寄ろうとする足を、抱きしめようとする手を、
必死で抑えた。
あと少しで、シンシアの目の前で叫ぶところだった。
愛してるのは君だけだと。
だが、そうはならなかった。
密かに葛藤する僕の前で、あの華奢な体が……
――きつそうだな。
他の男の腕に、抱き上げられたから。
視線を外すだけで、精一杯だった。
さもなければ、新条に掴みかかっていたかもしれない。
自分が招いたことだとわかっていてさえ、嫉妬で頭がどうにかなりそうだった。
あの床に、マタニティマークさえ落ちてなかったら……
シンシアがその意味を知らないと、わかっていたら……
いや、考えるだけ無駄だ。
すべてはもう、起きてしまったことなんだ。
ベビーも、お腹の中でさぞ心配しただろう。
呆れていたかもしれない。
さっさと全部、片付けよう。
シンシアの件、そして……
総帥にも一度、直接会うべきだろうな。
すべては、後継者問題をあの人がうやむやにしてきたことが原因だから。
ちゃんと、話し合わなければ。
あまり気は進まないけれど。