ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「ほらミユキ、ちゃんと謝れ」
駆け付けた矢倉に促され、ミユキ、こと周防美行(すおうよしゆき)は帽子を取り、「ごめんなさい」と素直に頭を下げた。
彼はすべてを白状した。
旧知のスタジオスタッフから、飛鳥と矢倉が再び一緒に仕事をするらしいと聞かされ、いてもたってもいられず、実家を飛び出してきたこと。
こっそり二人の様子をうかがっていたこと……
まさか、矢倉の恋人が男だとは思わなかった。
(ミユキというのは、ニックネームだそうだ)
いや、同性の恋人くらい珍しくはないだろうけど、飛鳥が受けただろうショックを考えると、ちょっと複雑だ。
「お前なぁ、俺が飛鳥とヨリを戻すとでも思ったのか」
「だって! 真杉さんは……雅樹が結婚まで考えてた人だろ。綺麗だし優しいし、仕事もできて……おれなんか全然かなわなくて……」
あぁ、そうだ。
飛鳥が綺麗で優しくて、最高の女性だってことは、クリスタルクリアな事実だけど。
「バカだな。俺が選んだのはお前だって、何度言えばわかるんだ」
「うん……ごめん」
イチャつくのは、僕がいなくなってからにしてくれ。
空気がピンク色に見えた気がして、はぁと息をついた。
つまり、彼に関する調査はすべて無駄だったってことか。
一気に全身へ回る疲労感に、額を押さえる。