ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
ダメだ、泣くな!
泣いてる場合じゃない。
カチカチと鳴り始めた歯を、ぐっと食いしばる。
どうすればいい?
どうすれば、逃げられる?
もしくは、時間を稼げる?
必死で考えながら、女王然と座るシンシアへ目を向けた。
「私や赤ちゃんをどうにかしたとして、ライアンがあなたを許すと思う? ましてや、愛するようになるとでも思ってるの?」
彼女は、なんだそんなこと、とでもいうように眉を上げた。
「恋とか愛とか、そんなものはいらないわ。ほしいのは、次期総帥になれる子どもだけ」
真っ赤に塗った指が、最上の胸へ伸びた。
「そしてね、愛なんてなくても男は女を抱ける生き物なのよ。もちろん……逆もまた然り、だけどね」
「おいおい、寂しいことを言うじゃないか」
その肩を抱き寄せながら、最上が笑う。
思わせぶりな視線と仕草に、ハッとした。
「もしかして、あなたたち……」
「ん? まぁ、ご想像にお任せしようか」
交わされる眼差しは甘ったるく、2人が男女の関係にあるってことは一目瞭然だ。