ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「あなたの生い立ちには同情する。でも、それを言い訳にすれば何をしても許されるってわけじゃないでしょう。いい歳してそんなこともわからないの?」
「っだ、黙りなさいっ!」
黙るもんか、と力を込めてにらみ返した。
「どんな境遇にあったって、幸せになろうと努力してる人は大勢いるわ」
「ラっライは、わたしに賛成してくれるはずよ。だってわたしたちは、同じだもの。同じようにわずかなお金で売られて、マフィアの子だって石を投げられた。彼はわたしと同じなの!」
まくしたてる彼女の言葉に、頭が妙に冴えていく。
「違う。ライアンは、あなたとは全然違う。彼は、人を愛することのできる人よ」
本気で愛して、慈しめる人。
命がけで、何かを守ろうとする人。
きっとそれは、お義父さんやお義母さん、弟さんがいたから。
家族の存在がライアンを変え、彼の未来を変えた。
そして、私たちは出会って、赤ちゃんが――
はっ……と、嘲るような笑い声が聞こえた。
シンシアだ。
「ほんと、おめでたいのね。『私の恋人は最高』って惚気てるつもり? 忠告しておくけど、あいつこそ悪魔よ。天使の仮面をかぶった悪魔。ねえ、教えてあげましょうか。ライはね――」
カチャっ
言葉を遮るようにドアが開き、小さなケースを手にした石塚が入ってきて。
室内は一瞬、静まり返った。