ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】

なんだかデジャヴだ。こんなこと、前にもあった。
シェルリーズホテルを巡るトラブルに巻き込まれた時。

変な注射を打たれそうになって……
あの時はライアンが助けてくれた。けど今は――……

再びがくがくと足が覚束なくなる。


シンシアと最上、ニセ秘書は、石塚の持ってきたケースを覗き込み、
「何時間くらい効くんだ」とかなんとか、話してる。


今のうちだ。

折れそうになる心を、必死で励ました。

しっかりしなくちゃ。
しっかり……

崩れ落ちそうな体を壁で支えるようにして、少しずつ移動して……
ダメだ、入口までは遠すぎる。

縋るように滑らせた汗ばんだ手が――壁とは違う感触を捉えた。


ドアだ。

さっき話に出た、隣室へ続くドア。
身体で隠すようにしながら後ろ手に探ると、ノブに鍵穴がある。
鍵がかかるってことよね。

神様……!

心の中で祈りながら、ゆっくりノブを回す――開いた!


悩んでる暇はない。
一か八か、賭けだった。

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