ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
這いつくばる男たちとはどこまでも対照的な、隙のないスーツ姿。
息一つ乱さず、すっくと立つ長身の――
「あ――」
どくんっ……!
一気に全身へ、勢いよく熱い血が巡り始める心地がした。
遠目だって、見間違えるはずがない。
私が彼を、間違えるはずはない。
あれは、紛れもなく……
「ライアン……っ」
叫んだつもりなのに、声はカスカス。
けど、彼には聞こえたようだった。
「飛鳥」
私を甘やかす優しいテノールが答えてくれて。
堰を切ったように、涙があふれだす。