ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
膝をついたライアンに抱きしめられてることに気づいて……呼吸が止まってしまうかと思った。
「す……スーツ、汚れちゃ……」
「黙って」
「……っ……」
何か言いたいのに、言葉が全然見つからなくて……
でもそれは、彼も同じだったみたい。
無言のままきつく引き寄せられて。
分け合う体温の中に、恐怖も不安も溶けていく――
「た、弾が入っとらんじゃないかっ!」
狼狽しきった叫び声に目を開けると、それは最上のものだった。
「何間抜けなことやってるのよっ!」
拳銃に、最初から弾が入ってなかった?
どういうこと?
「ほんと、間抜けですね。呆れますよ。それくらい、気づくと思ったんですが」
聞き覚えのある、硬質な声がした。