ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
し、仕事?
ライアンの腕の中で、私は耳をそばだてた。
えっと……どういうこと?
「奥様から聞いたことはありませんか。シークレット、あるいはシャドウ、そんな名前で呼ばれる、リーズグループの極秘セクションのことを」
シークレット、という言葉に、ドキリとした。
「まさか」
最上が、驚愕に目を見開きながらつぶやく。
「本当に存在してたのか……」
「何よ、ねえなんなの!?」
苛立ちながら声を上げるシンシアへ、ニセ秘書はあくまで穏やかな口調を崩さず、「トラブル処理の専門部署です」と説明した。
やっぱり……彼はSDなんだ。
呆然としながら動かした視線の先、ライアンが悪戯っぽく片目を閉じるのが見えて。
そういうことか、と吐息が漏れた。
彼は知ってたんだ。
「……え、SDなんぞ、腑抜けた御曹司の集まりだというじゃないか。そんな奴らに何ができるというんだ! さぁ、とっとと始末して口を塞いでしまえっ! 生きて返すな!」
怒りと動揺で、色を失った最上が喚き散らす。
その言葉で呪縛が解けたみたいに、ザザッ……と、男たちが一斉に身構え。
もう一度、その場が緊迫感に満ちた――ように見えたんだけど……
「あぁ、言い忘れてましたが、すでにこちらの配置は完了しています」