ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「……えっ?」
バースデー?
パチッと頭が覚醒する。
今日って退院……そうだ、私、誕生日だった。
上半身を起こすと、すかさず枕を背中にあてがってくれたライアンは、
ベッドの端に腰を下ろす。
そして「誕生日、おめでとう」と重ねて言い、恭しい仕草で手にしたものを見せてくれた。
「うわ、おいしそう!」
それは、こんがり焼けた、見るからにふかふかって感じのパンケーキだった。
メープルシロップがたっぷりかかったやつ。
甘い匂いは、これだったんだ。
まだ湯気があがってて、出来立てみたいだけど……
「ライアンが作ってくれたの?」
(なぜかこのVIPルームにはミニキッチンがついている。病室なのに!)
彼のパンケーキは絶品だってことを知ってるせいかな、急にお腹すいてきたみたい。
身を乗り出した私へ、
「ん、なかなかうまくできただろ?」とドヤ顔を見せるライアン。
「一度やってみたかったんだよね。朝からこういうの」
ご機嫌な調子で言って、フォークを動かし始める。
えーと……
これってもしかして……あれだろうか、海外ドラマでセレブがやるやつ。
“ベッドで朝ごはん”?
ほ、本気で?
ドギマギしている間に、食べやすい大きさになった一切れが差し出されてしまう。