ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
<総帥、どういうことですか……どうして、飛鳥が写って……>
混乱する頭を何度かふり、写真を受け取る。
見間違いじゃない。
確かに飛鳥だ。
隠し撮りだろう。
街角に立ち、携帯で何かを話している飛鳥だ。
狼狽える僕を興味深そうに見上げながら、総帥は<あぁそれから>と続けた。
<わしがお前を後継者にと推す理由だがな>
<は……?>
<お前がふさわしいから、それだけだ。誰が何と言おうと、それが事実だ。くだらん私情で、グループの全社員を路頭に迷わせるような愚かな真似を、わしがするわけなかろう>
<ですが、ふさわしい人物なら他にも……>
キングとか、と続けようとした僕の言葉は、厳しい眼光に遮られた。
<以前のお前のままだったならば、わしも“あ奴”を推しただろう>
<以前の、僕、ですか>
<そう、日本に行く前のお前だ。お前は確かに能力のある男だが、いかんせん野心に欠けていた。刹那的快楽主義者、とでもいうかな。ジエンも同じように嘆いていた。現状に満足しすぎだと>
確かに……反論の余地はない。
バンクーバーでの生活は、上海に比べたらすべてがスムーズで、天国のようで。
これ以上を求めたらいけないと思ってたから。