ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
ジャケットを片手に鷲掴み、シャツのボタンをはずしながら歩いてくる。
顔をしかめ、肩で苦しそうに息をしながら私へと歩いてくる、彼は――
「ライアン……」
一歩一歩。
距離が縮むごとに全身を駆け巡る歓びで……もう、息が詰まってしまいそうだ。
湧きたつような心臓をぎゅうっと上から押さえて、彼の姿を食い入るように見つめた。
これは都合のいい夢か幻なんじゃないか、彼が消えてしまうんじゃないかって。
でも。
彼は、消えなかった。
荒い呼吸を整えながら私の前までやってきて……変わらない微笑みを、その精悍な頬に刻む。
「よかった、会えて……たぶん、今日はここだって、思ったから」
――某国王女が見初めたそうで。内々に、見合いの打診があったそうです。
唐突に過った霧島さんの言葉に、顔が強張った。