ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「や……ごめん。今は、聞きたくない」
子どもみたいに首を振るしかできない自分が、情けない。
けど、無理なんだもの。
30過ぎの大人だって、冷静になれない時はある。
取り乱す時もある。
私やっぱりっ……
カツ…ッ
高い足音が響いて。
ジャケットをベンチに放り投げた彼は、私の両手首を掴んで、耳からべりっと引きはがした。
「拒否なんてさせない」
強引な口調、有無を言わせない眼差しに、ムッとした。
ずっとほったらかしでいきなり帰ってきて、言うことがそれ?
「な、なんでそんなっ……勝手なっ、別れ話なんて――」
「嫌だと言っても無理やりでも、さらって行くから。シンガポールに」
「…………へ?」