ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
さらって……って、連れてってくれるの?
別れようって話じゃなくて? それってまさか……
「あ、愛人として?」
真顔で聞く私を、「What!?」って、まん丸く見開かれた翡翠色の瞳が見下ろした。
「なんでそうなるんだよ!?」
「だだだって……王女様と、お見合いって……」
「王女とお見合い?」
おうむ返しに言って首をひねったライアンが、ぴくりと眉を上げた。
「もしかしてそれ、ジェネラル情報?」
「え、と……うん」
頷いてから、後悔した。眉間にみるみるざっくりと深い皺が刻まれ、その表情が険悪、っていうか凶悪になったから。
「あいつ……絶対に×××……××……」
口の中で忌々し気につぶやかれた言葉はたぶん英語。
意味はわからないけど……なんか、とてもよくない意味のような気がする。
「ら、ライアン?」
彼のシャツを掴んで引っ張ると。
剣呑な表情が、ようやく少し緩んだ。
「自業自得か。ずっと連絡もしないで、君を不安にさせて」
軽く頷きながら、自分に言い聞かせるように言う。
「見合いの話が来たのは事実だよ。でもすぐ断った。僕にはフィアンセがいて、秋には子どもも生まれる予定だからってね」
甘く微笑んだライアンが、大きな手で私の両頬を包んだ。
「一緒にシンガポールに来てほしい。もちろん、僕の奥さんとしてね」