ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「言葉も習慣も、なにもかも違う国に飛び込むのは、簡単なことじゃない。まして君には、仕事もあるし……今までのキャリアを全部捨ててくれって言うようなものだからね。無茶なことを頼んでるって、よくわかってる。それでも……もう、離れていたくない。傍にいてほしいんだ」
真摯な眼差しに見つめられ、再び視界が曖昧になっていく。
あぁもう、泣き虫だなって笑われちゃう。
誤魔化すように瞬きを繰り返しながら、こくこくとただ首を上下させた。
「僕も君が居心地よく過ごせるように協力するし、君が望むなら毎週末だってプライベートジェット飛ばして日本に来ることも……って、え?」
ようやく私が頷いてることに気づき、言葉を切る。
「飛鳥……いいの?」
恐る恐るといった風に確認してくる彼に、涙が零れ落ちないようにこらえながら笑顔を向けた。
「行く……一緒に、行く。連れてって」
自分でもびっくりしちゃうくらい、あっという間に気持ちは決まっていた。
外国で暮らすなんて想像したこともなかったし、確かに不安がないわけじゃない。
……けど。
離れてる時に思ったの。
無理やりでも、ついて行けばよかったって。
このまま会えなかったらどうしようって。
あの寂しさに比べたら、新しい環境なんて全然平気だ。