ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
誰にも負けないくらい、仕事してきたって自信はある。
ワーカホリックって恋人にも愛想つかされるくらい一生懸命打ち込んで……気づけば、10年が過ぎていて。
そうやって積み重ねてきたものは、私の中にしっかりと残ってる。
会社を辞めるからと言って、今までのすべてがなくなってしまうわけじゃない。
きっとただ、次のステージに進む時がきたってことだと思う。
だから……あなたと一緒に、新しい一歩を踏み出したい。
訥々と、私がその思いを説明すると。
「飛鳥っ……」
引き寄せられ、ギュッと抱きしめられ――そうになったけど、すぐに放された。
大きく張り出したお腹を、ライアンが心配そうに見下ろしてる。
「ごめっ……お腹、つぶさなかった?」
「大丈夫。パパに似て、タフだから」
私が請け合うと、「パパか」とつぶやいて、デレッと目尻を下げた。
「ずっとママのこと一人にして、ひどいパパだって怒ってるかな。許してくれる?」
お腹に手を置きながら、優しく聞いてくれたライアン。
赤ちゃんは……あれ、反応なし。
「胎動って、まだ感じないものなの?」
「ううん、さっきまで元気よく動いてたんだけど」
何気なくぽろっと言ってしまって、しまったと思った。