ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
「は? い、今?」
「そう。もともと今日、ここで挙げるはずだっただろう? 実は予約、キャンセルしてないんだ。絶対結婚するって、決めてたから」
悪戯っぽくウィンクして、あっけにとられてる私の手をぐいぐいと引く。
「もう一瞬だって待てないよ」
私だって、それは同じだ。
でも……
もごもごと口の中で言葉を濁しながら、チュニックとレギンスっていう自分のカジュアルスタイルを見下ろし、そして無人の教会内へと目を走らせる。
もちろん、この年で派手婚なんて考えてはいないけど。
今、ここで、か……
「飛鳥はヴェルサイユ宮殿の方がよかった?」
「は!?」
「総帥にはさ、お金は自分が出すから、ウェストミンスターでもヴェルサイユでも、とにかく派手な式にしろって言われてて。もちろん飛鳥がそっちの方がよければ、今から予約して――」
眉を下げつつ言うライアンに、「ややや、いいです、結構です!」と声を張り上げた。
派手のレベルが違いすぎるでしょっ……このブルジョワめっ!
「今ここで挙げましょう、ここがいいっ」
時間をかけたらかけただけ、とんでもないことになりそうだ。