ガラスの靴は、返品不可!? 【後編】
奈央さんの手に、小さな手を合わせて喜ぶ優羽は、親バカかもしれないが、天使のような愛くるしさだ。
だが……
「ねえママ、優羽、あのピンクのシュシュつけてく。たっくんに見せてあげたいから」
「あら、おめかし?」
「えへへ~」
どうしてそんなに嬉しそうに笑うんだ?
なぜそんなに、ほっぺが赤いんだ?
そして思い出す。
優羽が描く王子様の絵は、みんな黒髪に緑色の瞳だということを。
「シュシュ、汚れないようにしまっとかないと!」
弾むような足取りでダイニングから飛び出す彼女を見送って。
「おい、航」
ブロックで黙々と遊ぶ息子の傍に、しゃがみこむ。
「なあにパパ?」
「シンガポールに行ったらな、お姉ちゃんから目を離すな。絶対守るんだぞ」